先日Twitterで田中秀和氏の裁判の傍聴が大人気というのが話題になっていてふと思い出したんだけど、拙者数年前に裁判員に選ばれたんだよね。
せっかくブログ書くようになったし、その時のことを振り返っておこうかなと。
なお法学部卒でもないし法律関係の仕事もしてないから用語とかはガバガバな可能性あり。
他の裁判員とか裁判官の人と色々議論をして、判決・量刑を決めたりするんだけど、その議論の中身は口外できない。
それと関係者のプライバシーに関わることも書けない。
公判の内容や自分の感想は問題ないということなので、そこに絞って書くことにする。
裁判員の流れはざっくり以下のような感じだったはず。
①裁判員候補者名簿に載ったよ通知がくる
②特定の事件の裁判員候補に選定されたから裁判所に来てね、という通知がくる
③裁判所で抽選会を実施して当選するとその事件の裁判員に決定
④裁判員として色々(尋問や評議)やる
⑤判決
①②は書面で連絡が来るだけなので特にコメントなし。
③は実際裁判所に行くんだけど、だいたい30人くらい呼ばれててその中から裁判員6人と補充裁判員2人を選ぶ。
候補者名簿に名前が載ること自体レアだと思うのだが、そこからさらに抽選にあたらないと裁判員にはなれないという、なかなか狭き門。
確率的には0.01%くらいらしい……という話をすると確実に「宝くじ買ってみたら?」とすすめられるのだがロト7は0.00001%くらいらしいので勝負にならない。
※1年で0.01%なので一生のうちで裁判員に選ばれる確率はもっと高い
上記の通り裁判員になるのは確率的になかなか厳しい。
一方で裁判の傍聴自体は簡単にできるので一度行ってみるといいかも。平日休み取れないと無理だけど。
あとまあぶっちゃけてしまうと、裁判員は手放しでオススメはできない面もある。
公判が始まるまではさ「俺に刑期決められるやつがいるのかと思うと草」くらいのメンタルだったんだよね。「凶悪犯罪犯すようなアホは何年でもぶちこんでやるぜ!」みたいな。
でも終わってみるとそういう感じだけで乗り切れるものではなかったんだよな……被告人だけじゃなくて被害者にも向き合わないといけないから。
そしてその点、裁判員は自分で好きな事件を選べないのがキツい。
例えばだけど、小さい子供が殺されたような事件とか担当するの、想像するとキツくないですか?
一方で傍聴は自分で事件を選べるのが良いよね……
ただし裁判は平日しかやってないから、平日仕事の人は有給使う必要あり&ニュースで報じられてるような知名度の高い事件は人気があって傍聴券が必要だったりする模様。
なお性犯罪系の裁判も傍聴人気が高い模様。ヒトカスさぁ……
④⑤の自分の話に戻ると、担当した事件は殺人未遂だった。
なのでご遺体の写真や映像をみたりということはなかったわけだけど、証人として証言台に立った被害者の方の悲痛な訴えはずっしりと心に響いたよね。
あと被害者の方は強姦もされていて。検事は被害者の味方ではあるんだけど、被害者に対して強姦部分も含めて詳細な状況説明を促すんだよね。あれはかなり可哀そうだなと思った。
また被告人からもだいぶカルチャーショックを受けた。
被告人が公判で発言するたびに(マジか……)みたいな。なんていうか、中学生の頃の自分だったら同じようなこと言ってそうだよな、みたいな発言がポンポン飛び出してくるので勝手に共感性羞恥的なものを発動させていた。
自分の事をこの世界の主人公だと大マジに一生思ってる(=自分以外の人間が人格や意思を持っていることに思いが至っていない)んだろうな……というのがひしひしと伝わってきて。こういう世界観で生きてる人が世の中にはそこそこいるのかも?と思うとなかなか恐ろしかった。
うむ、当時書き溜めておいた膨大なメモがあるんだが、守秘義務の壁によって何を削るかを考える作業にめちゃくちゃ時間を要した。
そしてその結果メモの99%はここに書けなかった……悲しい。
最後に裁判員の良かった点も書いておこう
・法廷で裁判官の並びに座れる
⇒裁判員しか座れないポジションであり唯一無二だと思われる(ただし居眠りしたりしたら目立つ。あと被告人に顔覚えられたらイヤだなとかのデメリットもある)
・他の裁判員の方とワイワイ話すのは結構楽しい
⇒色んな年齢・職業の方がいて価値観とかも超バラバラなので、とりまとめる裁判官の人は大変だと思うが、参加してる側としては結構楽しく議論できる。裁判員の期間が終わったら2度と会うことのない、あと腐れない関係なのもよい
・裁判官の方が色々教えてくれてすごい
⇒ずぶの素人にたいしてベテランの現職が手取り足取り教えてくれるの贅沢すぎるだろ
・日当が出る
⇒会社の給料に加えて裁判員の日当も出るの嬉しい
手放しでおすすめはできないとは書いたものの、上記の通り良い点もあるのでチャレンジしてみるのもよいと思う(ていうか正当な理由がないと拒否できない)
裁判、一度は履修しておいて損はないと思うんだよね。
そもそも法律の世界自体がかなり独特なカルチャーを持っている感じがするので、そういう観点でも刺激を受けられると思う。
裁判員に選ばれるのを待つのは気の長い話なので、フラっと傍聴に行ってみるのもいいかもね!というお話でした。